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登山年月日 | 2013年 6月 9日〜10日 |
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参加人数 | 大人 2人 |
日程 | 一泊二日 |
天候 | (一日目)晴れ時々曇り (二日目)薄曇り |
距離 | (一日目)10.8Km (二日目)12.3Km |
時間(休憩を含む) | (一日目) 5時間56分 (二日目) 8時間00分 |
スタート地点標高 | 1490m (美濃戸口) |
最高点標高 | 2760m (硫黄岳山頂) |
ゴール地点標高 | 1500m (稲子湯) |
標高差(最大) | 1270m |
累積標高 | +2042m、-2034m |
気温 | 15℃ (二日目:原村 午前6時の参考値) |
(※ 標高、距離には誤差が含まれます)
梅雨の晴れ間を期待して、八ヶ岳に登る計画を立てました。
今回は南八ヶ岳の硫黄岳から北八ヶ岳の天狗岳を歩く道です。
天気予報を睨みながら切符の手配や山小屋の予約を取りましたが、関東甲信越地方は入梅後、晴れの日が続いていました。
青空の下とはなりませんでしたが、六月上旬の山では良い条件だったと言えるでしょう。
八ヶ岳への入口は、今回もJR茅野駅を利用しました。
新宿発の「スーパーあずさ1号」に乗車すれば午前9時過ぎには茅野駅に到着できます。
休日は平日よりもバスの本数が多く設定されていて便利です。
9時38分発の「美濃戸口直行便」に乗車します。
(2013年6月現在)
広大な高原野菜の畑を前景に八ヶ岳連峰の雄大な眺めを見ながら、茅野駅から30分ほどで美濃戸口に到着です。
駐車場には多くの車があり、すでに沢山の登山客が山に入っているようです。
登山口には登山カードの提出場所があります。 登山届けは、事前に電子メールで所管の警察署宛に送付してあったので、補導所での提出は省略しました。
美濃戸口から出発します。暫くは森の中の林道を歩きます。
※途中には山小屋があり、有料のトイレが利用できます。
美濃戸の森の中は、エゾハルゼミの鳴き声に包まれていました。
蛙の合唱のようにも聞こえる不思議な鳴き声です。
※画像をクリックすると音声付の動画が再生されます。
周囲の木々から沢山の蝉の声が聞こえてきますが、注意して見ても姿は一向に見えません。
鳴き声は高い位置から聞こえてくるので、かなり上の幹や枝にとまっているのかもしれません。
ようやく見つけたのは、すでに命を尽きた一匹でした。
以前は気がつきませんでしたが、林道の脇の大きな岩の上に一体の仏像が建立されていました。 登山の安全を祈念して、手を合わせました。
美濃戸の駐車スペースを過ぎた橋の先は、ロープが道を塞いで一般車が進入禁止であることを示しています。
もちろん歩行者は橋を渡って進むことができます。
美濃戸口から一時間掛からずに美濃戸山荘に到着です。
今回はいつもよりも時間を意識して歩くようにしました。
林道の歩きやすい道では、ペースは速めです。
美濃戸の分岐からは、北沢に入ります。
山は春を迎えて、木々は明るい緑の葉を茂らせます。
林道の終点、堰堤広場で小休止をとりました。 この先は沢沿いに上流へ進みます。
沢沿いの草地には黄色いスミレが沢山咲いていました。 咲いている場所、葉に微細な毛があること、花弁の形などからキバナノコマノツメと思われます。
赤岳鉱泉に到着しました。
名物のアイスキャンディーは既にシーズンの役目を終えて、櫓を解体している最中でした。
背景には横岳が特徴的な山容を見せています。
山小屋の前で休憩してから、硫黄岳への道に入ります。
森の中に続く道は、傾斜のきつい登山道になります。
水の流れる沢を渡ります。
冬場にアイスフォールのクライミングができる滝への道は、迷い込まないようにロープが張られていました。
ごつごつとした岩が露出した急登を上ります。 息の切れる道です。
危険な斜面には階段が組まれていました。 滑りやすいので注意して上ります。
日陰には、所々に厚さ30cm以上はある雪が残っています。 念のために軽アイゼンを準備してきましたが、必要はありませんでした。
前方が明るく開けて、稜線が望めます。
右には木々の間から八ヶ岳の主峰である赤岳の姿も見えてきました。
樹林帯を抜けるまで、あと少しです。
オーレン小屋への分岐となる赤岩の頭付近です。 稜線上には殆ど風はありませんが、気温が下ってきたので衣類を一枚増やしました。
前方の岩場を越えれば硫黄岳の山頂はもうすぐです。
赤茶けた岩が突き出している道を上ります。
登山道の左手、北側には、翌日に登頂する予定の天狗岳が見えています。
足下は崩れそうな岩礫の道です。
岩盤が露出した道を攀じ登ります。
稜線上の登山道脇には、キバナシャクナゲが花を開いていました。
道の右側は断崖絶壁で少し怖いくらいです。 道幅はありますが、左の岩に荷物などを引っ掛けないように注意して通過します。
硫黄岳の山頂に到着です。
広い山頂部のほぼ中央に標高を示す印がありました。
横岳および赤岳へ続く稜線はもちろん、南アルプスの甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳を望むことができました。
日曜日の夕方、硫黄岳山頂には私たち以外には誰もいませんでした。
風も無くとても穏やかで、荷物を下ろして休憩をとりました。
夏場は雷の心配がありますが、まだ気候は安定しています。
夕立の恐れがあれば、この日は赤岳鉱泉までと決めていました。
山頂の北側にぽっかりと大きく口を開けているのが爆裂火口跡です。
どれほどの大噴火であったのか、想像もつきません。
以前から見てみたかった風景の一つです。
山小屋を目指して斜面を下ります。
石の積み重なった道で、足を乗せるとガラガラと音を立てます。
傾斜はきつくないので、ゆっくり歩けば危険は少なくなります。
この日の宿泊地となる硫黄岳山荘に到着しました。
美濃戸口から硫黄岳まで1200m以上を一気に駆け上がり、大分疲れていました。
ゆっくりと休養をとって、翌日に備えます。
部屋は個室を予約していました。
オーナーが育てた野菜を使った惣菜は大変美味しく、満足のいくものです。 春菊の天ぷらと焼き魚が並びます。
汁物は具がたっぷりのミネストローネです。
カレーにはオーナーが育てた大豆が入っています。
すべて平らげて、あとは寝るだけです。
朝食は自分たちで用意して済ませ、早朝の5時過ぎに山小屋を出発します。
せっかく日の長い季節です。朝早くから行動するのが良いと判断しました。
眼下には雲海が広がります。 上空には雲が広がっていますが視界は良好で、稜線上の道からは南アルプスの峰々を望むことができます。
まずは硫黄岳山頂への道を上ります。
足下はガラガラと音を立てるような岩礫の道です。
広い稜線をケルンを目印にして進みます。
歩く道を振り返れば、赤岳と阿弥陀岳がよく見えました。
その後方には南アルプスが見えています。
前日に歩いた道を戻って、二度目の硫黄岳山頂です。
早朝の頂に、人気はありません。
風は無く、静かな時間が流れます。
爆裂火口跡の縁に沿って夏沢峠に下る道です。
右手、東側は切れ落ちた岩壁です。
前方には目指す天狗岳が、その後ろには蓼科山が見えます。
不安定な足下に傾斜の大きい下りは神経を遣います。
眼下に夏沢峠の山小屋が見えてきました。
樹林帯に入り道を下ります。
途中には道の右手が崩れやすい箇所があって、森の中に迂回するようになっていました。
硫黄岳山頂から標高差300m以上下り、夏沢峠に到着です。
夏沢峠は八ヶ岳を南北に分ける場所です。
峠にある二つの山小屋はとても静かでした。
樹林帯の上りの道を進みます。
春の明るい森の中を歩きます。
登山道の前方にホシガラスの姿がありました。 まだ若い鳥のようです。
道の両脇には石楠花があります。
花が咲くのは、まだ先です。
箕冠山の山頂です。
樹木に囲まれていて展望はありません。
地図を見ると、最高地点は登山道の西にあるようです。
北八ヶ岳の登山道にも雪が残っています。 アイゼンは必要ありませんが、一度融けた雪が凍って固まった箇所は滑りやすいので注意します。
箕冠山と根石岳の鞍部に位置する根石山荘で有料トイレを借ります。
小屋の前の看板には「根石山荘」と出ていましたが、インターネットサイトには「根石岳山荘」と表示されていました。
根石山荘の前で小休止をとってから、根石岳に向けて上りの道を進みます。
振り返って見ると、箕冠山の後ろには赤岳などが頭を出していました。
植物の無い砂礫の鞍部から箕冠山山頂に向けてハイマツ帯、樹林帯があり、植生の垂直分布における逆転現象が見られる珍しい場所です。
鞍部に吹く冷たい強風の影響があるようです。
根石山荘からは10分も掛からずに根石岳山頂に到着することができます。
根石岳山頂から東西の天狗岳を見ます。
山肌にも雪が残っています。
根石岳から東天狗岳に向かって歩きます。
途中には本沢温泉に続く白砂新道の入口があります。
分岐の直下の道は雪に覆われていて、上ってくる登山者は苦労していたようでした。
岩場を攀じ登ります。 トレッキングポールはしまって、両手を使って上ります。
岩場を越えて、金網の橋を渡れば山頂はすぐです。
東天狗岳の山頂を踏んでから、すぐに西天狗岳に向かいました。
時間が無ければ西天狗岳への登頂は省略することも考えていましたが、計画の時間に余裕を残していたので予定通りに西天狗岳に向かいます。
北八ヶ岳の最高峰、西天狗岳に到着しました。
荷物は東天狗岳との間の鞍部に置いてから上りました。
西天狗岳にある三角点です。
西天狗岳から下りてきた岩礫の道を振り返って見ます。
西天狗岳と東天狗岳の吊り尾根から南八ヶ岳方面を望みます。
歩いてきた硫黄岳、箕冠山、根石岳が見えています。
吊り尾根から東天狗岳を見ます。
岩場の道はペンキの丸印を辿って上ります。
東天狗岳の山頂です。
西天狗岳とほぼ同じ高さですが、僅かに東天狗岳が低いのです。
東天狗岳山頂を少し下った所から振り返って見ます。
左手、東側が切り立った険しい岩壁であるのが分かります。
中山峠まで東天狗岳北側の尾根を下っていきます。
黒百合ヒュッテのある黒百合平への分岐路です。
私たちは右手、尾根沿いに中山峠を目指します。
岩場からハイマツの間を抜ける道となり、樹林帯が近づきます。
道には雪の残る箇所があります。
黒百合平の一帯は溶岩の転がる平原です。
大きなごろごろとした岩を渡り歩く道は、とても神経を遣います。
この直後、アルピニストの野口健さんと擦れ違いました。
握手を求めると軍手を嵌めた手を差し出してくれました。
写真をお願いすると快く応じていただき、記念の一枚がよい思い出になりました。
雪の斜面を下り、樹林を抜けて再び岩を渡る道です。
岩礫の傍にはイワカガミが咲いていました。
イワカガミは大きさにより種類が分けられているようですが、形にあまり違いが無いので判断できませんでした。
八ヶ岳一帯に咲くものはコイワカガミとの文献も見られます。
北八ヶ岳登山道のポイントの一つが中山峠です。
十字路になっていて、各方面から登山者が行き交います。
私たちは、みどり池に下る道に入ります。
中山峠の直下には雪で覆われた下りの道が待っていました。
足の置き場に苦労しながら下り、雪のない場所も急な傾斜には変わりはありません。
足下の岩も苔むしているので滑らないように注意します。
北八ヶ岳の森は、湿っぽい薄暗い道が続きます。
本沢温泉から来た道と合流します。
前方が開けると、みどり池に着きました。
みどり池畔のしらびそ小屋で休憩します。
ここまで、ほぼ予定通りの行程です。
しらびそ小屋ではチーズケーキのセットを注文しました。
コーヒーにほっと一息つきます。
みどり池からは東天狗岳の東面を望むことができます。
つい数時間前には、あの頂に居たかと思うと感慨深いものがあります。
稲子湯から乗車予定の路線バスには十分間に合いそうです。
身支度を整えて稲子湯を目指します。
コマドリ沢からは、沢の右岸の道を下ります。
左岸の登山道は、2011年9月の台風による豪雨のため通行不可となっています。
一部のガイドブックとは説明が違っているので、注意が必要です。
(2013年6月現在)
木々の緑も地面を覆うシダ類の緑も一面明るい鮮やかな緑色をしています。 しばし立ち止まり、その光景に見入ってしまいました。
小鳥の囀りだけが響き渡る静かな森の道を歩きます。
林道に出ると、すぐにまた森の中の小道に入ります。
何度か林道を横断しながら高度を下げてゆきます。
歩いてきた林道は、一般車両の通行が禁止されている林道です。 入口には扉がありました。
舗装路に行き当たると路線バスの停留所があります。 稲子湯発のバスはこのバス停にも停まります。
再び森の中の登山道に入り、稲子湯を目指します。
長い道程もゴールまでもうすぐです。
森を抜けると稲子湯に到着です。
二日間で23Kmにおよぶ『山歩き』が終わりました。
稲子湯13時56分発の小海町営バス松原湖線でJR小海線小海駅に向かいます。
(2013年6月現在)