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登山年月日 | 2013年 9月29日 |
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参加人数 | 大人 2人 |
日程 | 二泊三日 |
天候 | (一日目)快晴 (二日目)晴れ (三日目)晴れ |
距離 | (一日目)11.8Km (二日目) 8.5Km (三日目)18.5Km |
時間(休憩を含む) | (一日目) 3時間49分 (二日目) 9時間16分 (三日目)10時間 8分 |
スタート地点標高 | 1505m (上高地インフォメーションセンター) |
最高点標高 | 3106m (北穂高岳山頂) |
ゴール地点標高 | 1506m (河童橋) |
標高差(最大) | 1601m |
累積標高 | +2456m、-2455m |
気温 | 27℃ (二日目:松本市 最高気温の参考値) |
(※ 標高、距離には誤差が含まれます)
休暇を利用して二泊三日の行程で北アルプスを目指すことにしました。
数ある名峰の中から選んだのは穂高連峰の一角を成す北穂高岳です。
標高3000メートルを超える場所に山小屋があるのも魅力です。
上高地から横尾谷・涸沢を経由して往復する一般的な登山ルートで、初めての槍穂に挑戦です。
当初は何となく10月初旬と計画していました。
よくよく考えてみれば紅葉の季節と重なり、混雑も十分に予想される時期ですが、宿は直前に予約できました。
三日間とも好天に恵まれ、涸沢の紅葉も堪能した心に残る『山歩き』となりました。
登山口となる上高地へは、JRとアルピコ交通上高地線電車を乗り継ぎ新島々からはバスに乗り換えて向かいます。
路線バスは時刻どおりに上高地に到着しました。
雲の無い青空が広がり、天候は申し分ありません。
9月下旬にしては気温が高めなのが気になります。
バスターミナルに面した場所にある上高地インフォメーションセンターを出発地点としました。
※途中には山小屋や公衆トイレがあります。休憩など計画的に利用しましょう。
整備された森の道を歩いて河童橋を目指します。
道が梓川に出ると、正面には屹立する穂高連峰を背景に河童橋が見えます。
青空にくっきりと浮かぶ険しい峰々は圧巻です。
行動食とともにある程度の食料は持参していますが、今回は観光地の恩恵を受けることにしました。
昼食は人気ナンバーワンメニューの山賊焼き定食です。
一日目は標高差のあまり無い行程となります。 時間にも余裕があり、食後の休息を兼ねて河童橋付近で撮影を楽しみました。
往路は明神橋まで梓川の右岸を歩きました。 観光地のハイキングコースとして整備された木道を歩きます。
梓川の右岸を歩いたのは明神池の畔にある穂高神社奥宮で山の安全を祈願するためでした。
明神橋で梓川の右岸から左岸に渡ります。
明神で河童橋から梓川の左岸を通る道と合流して上流に進みます。
途中には、徳本峠を越えて島々谷に至る道が分岐しています。
道は森の中から梓川沿いに出ました。 広々とした河原が広がっています。
徳沢ロッヂを過ぎ、草地の広がる幕営場の脇を抜けると徳澤園の建物が正面に見えます。
徳沢の周辺では森の中を歩く道ですが、少し先に進むと再び梓川に面した砂利道となります。
太陽は山影に入り、道は薄暗くなります。
河童橋から約3時間歩いて、一日目の目的地に到着しました。 横尾山荘には宿泊者専用の浴場があり、一日の汗を流すことができます。
山小屋の夕食は普段の生活よりも早めに始まります。
どんな料理が出てくるのか、登山の楽しみの一つです。
沢山歩いたので、ビールが美味しく飲めます。
二日目は標高差約1500メートルを登ります。
しっかり食べて力を蓄えておかなければなりません。
山小屋を出発して横尾大橋を渡ります。
空は一日目よりも雲が多く出ていますが、青空も覗いていて上々の天気です。
梓川の支流が流れる横尾谷を上ります。
横尾谷を奥へと進むと屏風岩を見ることができます。 クライマーの姿はありませんでした。
谷を回りこんで正面に北穂高岳を臨む道になりました。 上高地からは見えていない穂高連峰の一角を目にして、緊張感が高まります。
横尾と涸沢の中間付近にある本谷橋を通過します。 河原には多くの登山者が休憩していました。
本谷橋を過ぎると斜度が急になり、歩く速度が落ちました。
涸沢まで上りの道が続きます。
涸沢に入り、奥穂高岳が正面に見えてきました。 河童橋から見た奥穂高岳と前穂高岳の吊り尾根を反対側から見ることになります。
北穂高岳に向かうため、距離の短い涸沢小屋の道に入ります。 涸沢ヒュッテを経由することもできます。
涸沢小屋の裏手は大分色がついてきていました。
横尾から涸沢までは一時間を目安に休憩をとってきました。 涸沢小屋では長い休憩をとって食事をすることにします。
涸沢小屋ではカレーライスを注文しました。
一時間以上の長い休憩をとって体力も回復したはずです。 気合を入れて北穂への道に入ります。
山頂の方向を見上げると青空がありました。 周囲の木々も標高が上がるとともに紅や黄の色が濃くなってきます。
ナナカマドの紅葉が進んでいますが、もう二、三日後のほうが良さそうです。
ここまでの道とは打って変わり、岩稜を四肢を使ってよじ登る道になりました。 より慎重に進んでいきます。
所々で岩場に遭遇します。 ○印や→を忠実にトレースして方向を見失わないようにします。
大小の岩石が積み上げられています。 どれも不安定で、岩石の下が空洞になっているので石を踏むたびにゴトゴトと低い音が不気味に鳴り響きます。
振り返ると前穂高岳北尾根の向こうに富士山が見えてきました。
南稜に出るため、まずは鎖場を超えます。
梯子を登って南稜に出ます。
南稜からは奥穂高岳が眼前に迫ります。
大きな岩には足掛かりがあります。 矢印を見落とさないように注意して上ります。
再び鎖場が現れます。
鎖はあくまでも補助的な役割です。
頼り過ぎないようにして慎重に上ります。
岩場が幾つもあって緊張の糸を緩めることはできません。 体力とともに神経を擦り減らす登山道です。
標高はすでに3000メートルを超え、常念岳を見下ろす高さです。
涸沢岳、穂高岳山荘を経て奥穂高岳に続く道が左に分けています。
涸沢から上り詰めてきた北穂沢の源頭付近は狭いガレ場の道です。
涸沢から4時間以上を掛けて北穂高岳北峰山頂に到着しました。
山頂に着いてまず目に入ってくるのは、正面の槍ヶ岳です。
大キレットの鋭い稜線の向こうに圧倒的な存在感で聳えています。
山頂からは360度の大パノラマが広がります。
後立山連峰の白馬岳、槍ヶ岳東鎌尾根から表銀座と呼ばれるルートの先には燕岳とすでに踏破した山々を眺めるのも『山歩き』の醍醐味です。
富士山と南アルプスを望みます。
最高峰の富士山、第二位の北岳、第四位の間ノ岳などの峰々が見えています。
北穂高岳の山頂からは、標高3000メートルを超える山々のほとんどを見ることができます。
八ヶ岳の主峰である赤岳から横岳、硫黄岳は夕陽に照らされていました。
山頂から西には笠ヶ岳が間近に見えます。
しばらくの間、山頂からの眺めを楽しんでいました。
北穂高岳山頂からほんの数十秒下りれば北穂高小屋に到着です。 生ビールや小屋オリジナルのグッズなどが充実した売店が小屋の外に併設されているのに驚きました。
チェックインを済ませて背中の荷を降ろしてから売店でコーヒーを注文しました。
写真は口を付けた後のものですが、カップには並々と注がれていました。
香りもよく、とても旨いコーヒーでした。
小屋前のテラスで寛ぐ時間は、何よりも目の前の景色が最高です。
北穂高小屋の夕食は、名物の豚肉の生姜焼きです。
いつもは缶ビールなのですが、ここには生ビールがあります。 偶然にも窓際の席に案内され、常念山脈など東側の絶景を眺めながら乾杯です。
西には雲があって周囲には陽が射していませんでしたが、食事が終わる頃に雲間から顔を出した太陽が常念岳の影を映しました。
写真では少し分かりにくいのですが、右側の薄い雲の上に写る三角形が常念岳の影です。
ほんの僅かの間に見られた素敵な光景です。
食後は十分な防寒を施して、小屋のサンダルを借りて北穂高岳山頂に登ります。
小屋の玄関を出てから一分も掛からずに登頂できます。
風はほとんど無く、9月末にしては気温は高めで寒さはあまり感じませんでした。
山頂では360度のパノラマを楽しむ撮影会です。
雲海の広がる遠方には、白山も見えています。
三日目は標高差約1600メートルの下りです。
下山とは言え疲れの残る中、約20キロメートルの距離を歩くことになるので、朝食は欠かせません。
朝食後はサンダル履きで山頂に登ります。
雲が多く御来光は拝めませんが、近くの奥穂高岳や前穂高岳、常念岳などははっきりと見えます。
西側から湧き上がる雲に、残念ながら槍ヶ岳の姿は見えませんでした。
10分ほど撮影をして過ごしましたが、この日の朝もあまり寒くはありませんでした。
天気は曇りの予報でしたが、山頂付近には朝陽が射し込んでいます。
清々しい気持ちで三日目のスタートを切ることができました。
山小屋からは朝食を自前で調達して午前5時前後に出発するパーティーと小屋の供する朝食をとり午前6時前後に出発する組みとに分かれていました。
私たちは後者でしたが、山頂に立ったときには誰もいませんでした。
槍ヶ岳は雲に覆われて見えません。
山頂を下ればすぐに危険な山道が待っています。 緊張を強いられる道が続き、神経を遣います。
涸沢までは1.9キロメートルの表示です。
北穂高岳のテント場横を通過します。
このテント場には水場やトイレはありません。
北穂高小屋を利用することになります。
浮石のある石の道を下り、ぐんぐんと高度を下げていきます。
足場の悪い箇所には鎖が掛かっています。
下方には涸沢ヒュッテの建物が小さく見えています。
右手の奥穂高岳山頂付近は雲が掛かっていました。
登山道の岩の間には可憐な白い花が咲いていました。
北穂高小屋のシンボルマークにも取り入れられているイワツメクサです。
苦しいときに、ふと目にすると心が和み気持ちが落ち着きます。
ハシゴと鎖で南稜から北穂沢沿いに降りてゆきます。
ハシゴや鎖はしっかりとしていて、怖さは感じませんでした。 大きな岩にも足場が切ってあります。
岩石は積んであるだけです。 落石を起こさないように注して下ります。
奥穂高岳の雲も取れて、青空の下に綺麗に聳え立っています。
付近の紅葉黄葉も進んでいるようです。
ダケカンバが綺麗に色づくには、もう少し時間が掛かりそうです。
涸沢ヒュッテの裏側に迫る前穂高岳北尾根の紅葉も進んでいます。
北穂高小屋を出て3時間ほどで涸沢に到着しました。 テラスで小休止をとります。
涸沢小屋の裏手にある奥穂高岳の登山道入口から紅葉の具合を確認します。
涸沢小屋を出て涸沢ヒュッテに向かう間のテント場付近から、奥穂高岳を臨みます。 右端には涸沢槍が見えています。
下山では涸沢ヒュッテで食事をすることにします。 やはりカレーライスを注文しました。
涸沢ヒュッテのテラスから歩いてきた道を振り返ります。
見上げる北穂高岳に登頂し、この日の朝から下りてきた道を目で辿ると感慨深い思いがします。
周辺の紅葉も綺麗に色づいていますが、まだテント場の混雑はありません。
好天のこの日、ヘリコプターが何度も往復して荷物の積み上げ積み下ろしを繰り返していました。
十分な休養をとり、横尾に向かって出発します。
涸沢ヒュッテを出て直ぐに屏風のコル(鞍部)を経由するパノラマコースとの分岐があります。
距離の短いパノラマコースでの下山も考えましたが、山小屋の方に確認すると道が悪く横尾経由よりも時間が掛かるとのことで素直に横尾谷への道に入ることにしました。
涸沢から横尾谷に向かう周辺も前日よりも色づきが進んでいるようでした。
高度が下がり樹林帯に入ります。ダケカンバの潅木などが登山道の周囲に茂っています。
山側から谷に大小の岩石が流れています。今にも崩れそうな狭い石の道を渡ります。
涸沢ヒュッテから1時間半ほどで本谷橋に到着です。 ここまでは上りのときよりも長く感じる道でした。 疲労も溜まってきているので、ゆっくりと休憩をとります。
本谷橋を出発します。
沢は、大きい橋ではなく小さな橋で渡りました。
横尾までは屏風岩をぐるりと回っていきます。
この辺りが北穂高岳を眺めることのできる最後のポイントです。
名残惜しい気持ちで踏破した峰を振り返ります。
本谷橋からは緩やかな下りの道となり歩きやすくなります。 岩小屋跡を横目に見て、横尾へと進みます。
涸沢から3時間弱で横尾まで下りてきました。
陽射しが強く、10月とは思えない汗ばむ陽気です。
ベンチで腰を下ろして小休止をとってから、直ぐに出発します。
横尾から梓川に沿って上高地へ下ります。 川沿いの道はやがて森の中へと続きます。
徳沢に到着です。
暑いのでソフトクリームを食べてクールダウンしました。 疲れた体に甘みが程よく染み渡ります。
15分ほどの休憩の後、出発します。 上高地までは6.4キロメートルの表示です。
ハイキングコースとしても利用される道は整備されていて歩きやすい砂利の道です。
山側から流れる水に道が濡れています。 木材が渡してあり、その上を歩けば濡れる心配はありません。
梓川の対岸には穂高連峰の一角を成す明神岳が聳えています。 明神までは明神岳の岩峰を見ながら歩きます。
徳沢から約50分で明神に到着しました。 河童橋まではあと少しです。
明神まで下りてくれば焦ることはありません。 一息ついてコーヒーブレイクです。
明神からは往路とは梓川の対岸になる左岸を下ります。 河童橋まで森の中を歩く道です。
長い道のりを辿り、河童橋に到着しました。
これまでの『山歩き』での最長距離となる40キロメートル近い道程でした。
疲れも相当溜まっていますが、槍穂の一角を登頂して達成感の大きな山行となりました。
天気予報に反して、三日間とも好天に恵まれた素晴らしい『山歩き』でした。
河童橋から穂高連峰を臨みます。
あの岩峰の裏側から歩いてきたのだと思うと、距離が長いのもよく分かります。
疲れた体を癒すため、河童橋に近い宿を取りました。